2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17227
東京湾の水温形成に与える海面熱フラックスの長期変化と外海水温変動の影響について検討を行った.前者については,東京湾上の熱フラックスを推定する方法を構築した上で,海面熱フラックスの長期変化の影響を把握するための指標として平衡水温に着目し,平衡水温が気温と同レベルの上昇傾向であること,平衡水温の上昇要因としては長波放射量とともに短波放射量の変化も影響している可能性を示した.後者については,最近11年間(2010~2020年)を対象とした東京湾周辺海域の流動シミュレーションを行い,2010年代前半と後半以降の外海水温レベルの変化が,東京湾内の冬季の表層水温の変動に影響を与えた可能性を示した.