2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17259
温室効果ガス削減対策として浚渫土砂を造成干潟の基盤材として封じ込めることが検討されている.一方,浚渫土砂からメタンが生成されることが懸念される.本研究では,浚渫土砂を基盤材とした造成干潟で,炭素貯留効果とメタン生成に着目した.潮下帯と潮間帯で2m程度の鉛直試料を採取し,TOC,IL,メタン等を分析した.潮間帯では炭素残存率が86.5±2.5%,メタンが0.068-0.602µL/g-dry,潮下帯ではそれぞれ86.7±2.5%,0.037-0.087µL/g-dryであった.浚渫土砂層の炭素貯留量は9.02×103g-C/m3,メタン存在量は0.202g-C/m3と推定された.造成干潟基盤材として封じ込められた浚渫土砂からのメタン存在量は炭素貯留に対し軽微であった.