2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17280
安全かつ効率的な船舶運航のために,気象・波浪予測を活用したWeather Routingは有効である.本検討では,将来的な海運需要増加や自動観測による観測効率化によって海上気象観測点が増加した場合を仮定し,仮想的な海上気象観測ネットワークから得られた観測値を同化することによる台風・波浪予測精度の変化とその航路選定への影響について事例検証を行った.結果,今回の条件では海上気圧観測を同化することの効果が大きく,台風経路・強度・波浪予測が改善した.これらの外力予測改善が最適船舶航路にも影響を及ぼすことが分かり,将来的な船舶観測ネットワークの発展が船舶運航効率化に有効活用される可能性が示唆された.今後多様な気象条件・観測条件での事例を増やし,観測コストの考慮やより現実的な条件下での検証が必要となる.