2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20015
都市交通計画制度は,最適な交通手段分担を実現するとともに,公共交通サービス水準を保障することで立地政策に貢献することが求められる.しかし,2014 年以降に都市部にも策定対象が拡大された地域公共交通活性化再生法に基づく交通計画は,サービス自体の再編効率化や事業収支改善を目指したものが多く,都市部において公共交通サービスを強化して自家用車から転換させる方向性が希薄である.地域公共交通計画制度は,都市交通計画と生活支援交通計画とを区別しておらず計画方法論が混乱していること,ローカルバス向け国庫補助の事業改善効率化へのコミットメントが計画制度に混入していることなどが問題である.このような帰結に至った歴史的経緯も明らかにした.