2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20019
本研究は,全国的に交通事故の危険度が高い愛知県における交通安全対策に寄与するために,Hierarchical ordered probit モデルを用いて交差点での自動車相互の交通人身事故における当事者の重傷度要因分析を行う.過失の軽重による当事者区分を反映することや,従来の頻度分析においても検討された地域特性を考慮することで,事故の多面的な理解を目指す.推定結果から,高齢者自身,若者や高齢者の相手,相手との車両重量差,正面衝突や右折,夜間の薄暗い状態,交差点規模,故障信号機,内部照明式拡大標識,田農用地,人口集中地区,過疎地域などの説明変数が重傷度に有意に影響を及ぼすことが明らかとなった.また,閾値に変数を加えることで,自身の年齢などの重傷度に部分的に影響する要因を特定した.