2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20024
中山間地域では共助交通の導入を検討する地域が増加している.しかし,既存のタクシー事業者にとっては旅客の奪い合いに伴う利益の減少が懸念されるため,導入に理解が得られない場面が見られる.一方で,タクシー事業者にとって非効率な運送も存在するため,そのような運送をタクシー事業者が共助交通に割り振る体制が確立できれば旅客の奪い合いは発生せず,タクシー事業者の経営改善にもつながる.そこで本研究では,この体制をタクシー事業と共助交通の一体的な運営管理体制と呼び,この体制のもとでのタクシー事業と共助交通の車両運行を再現する数理計画モデルを構築する.その上で,このモデルを実際の地域に適用し,営業所の立地などがタクシー事業者の利益に及ぼす影響を定量的に明らかにするとともに,経営改善の機会が存在しうることを示す.