2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20042
地方圏の人口減少を緩和するためには,出身者のふるさとへの回帰行動の促進を図ることも必要である.本研究では,初職時に県外で就職した徳島県出身者を対象として,帰県移住の要因を明確にすることを目的とする.特に,帰県時までの経過期間と年齢時点による意思決定要因の差異に着目する.そのため,県外就職者のアンケート調査への回答結果に基づいて,帰県移住に関係する要因を分析した.帰県時までの経過年数には,ワイブル分布を仮定した分布形状と関連する要因を特定した.その結果,帰県移住に関わる要因は,それぞれの年齢時点により異なることが明示された.初職地により帰県移住には差異があり,40 歳までは出身地への自動車旅行時間に応じて,帰県率が低下する.一方,40 歳以上では給与格差に対応して,帰県率が低下することが示唆された.