2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20121
本研究では,2011 年より開始された河川空間のオープン化事業の動向を概観し,各事例の空間利用の工夫と浸水対策の双方を捉えることで,親水と浸水の両義的側面による河川空間利用を明らかにすることを目的とした.調査は,利用形態及び事業スキームを分類した上で,徒歩 15 分到達圏人口を算出し,人口規模より傾向を捉えた.次いで,浸水リスクを有する事例の浸水対策や空間構成,空間利用の比較検討を行った.その結果,事例は人口規模で二極化され,都市部での比較的限定された空間で実施可能な飲食利用,郊外部でのイベント・広場利用が多くみられた.また,水域特性に応じて特徴がみられ,占用主体の工夫により立地条件,施設形態,移動・仮設性を考慮した親水性の確保と浸水対策が行われ,柔軟な空間利用に繋げていた.