2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20138
我が国では人口の東京一極集中化が現在も継続中であるが,その一方で地方定住意識は高まっており,意に反した転居が増加している恐れがある.また,海外においては転居を頻繁に行うことに様々な弊害が存在するという研究も多数見られるが,日本において転居の弊害を定量的に分析した研究は行われていない.そこで本研究では,アンケート調査を通じて,転居と様々な心理的・身体的弊害の関連性を分析した.分析の結果,幼少期における転居が後の幸福度を下げるという傾向を始め,頻繁に転居をすることの心理的・身体的な弊害が統計的に観察され,地域定住社会を推進することが合理的な政策方針であることが示唆された.