2024 年 80 巻 27 号 論文ID: 24-27033
エクアドル海岸部での防災啓発活動を通して,住民の地図の読図能力を考慮した津波リスク伝達手法が必要であるという着眼点を得た.同市で実施した住民調査を通して,ハザードマップの普及率,自宅の津波リスクの認知率および地図の読図能力を有する住民の割合が低いことを確認した.一方で,スマートフォンの所有率が高かったため,津波の浸水想定区域地図に加えて現在地,避難経路および方角を表示する地図アプリを試験的に開発した.ハザードマップおよび開発した地図アプリの効果検証に向けて実施した実証実験を通して,両者の閲覧後に津波リスクの認知率は有意に上昇し,後者でより大きく上昇したことを確認した.一方で,避難意識は優位な変化が確認できず,避難意識の向上という課題が残された.