2025 年 81 巻 15 号 論文ID: 24-15001
交互砂州の研究は古くから行われてきた.これまでの研究は定常流量に対する砂州の平衡状態に対する議論が多く,実河川で起こっている現象の数値解析的検討以外は非定常流量下での研究は少ない.本研究では,令和元年台風における千曲川の上田電鉄の落橋被害を踏まえ,流量時系列の変化が砂州の変化に及ぼす影響を明確にするため,水路実験を行った.
実験では,非定常流量で作成した砂州を初期形状として,四つの流量パターンを通水し,水位変化と砂州の移動を調べることによって,非定常流量の砂州移動と形状変化に関する定性的な知見を得た.具体的には,増水期および減水期の流量変化率を変化させ,その時の砂州の動きや最終的に形成される砂州地形の特徴の変化を示した.結果として増水期は砂州が進行しやすく,かつ流量変化率が高いと進行速度がより大きくなることや,流量ピークを越え減水期に移動停止限界に近い低流量が長く流れると側壁沿いに長く深掘れが発生しやすいことなどを示すことができた.