2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16025
本研究では,都市近郊の里山に残存する農業用ため池が,CO₂吸収源として適しているか否か,現地調査と数値シミュレーションを用いて奥池のCO₂吸収特性の視点から考察した.現地調査の結果より,対象とするため池には水草の生育に必要な栄養塩が十分に存在することがわかった.また,本研究で定義した光合成の活動の程度を示すΔDICについて,chl.aの関係から7月と10月の成層期に関して大きな傾向の違いが生じていたことがわかった.さらに,炭素動態について把握するために数値計算の妥当性を検証したうえで,溶存無機炭素DICについて数値計算を実施した.その結果,穏やかな気象条件において藻類による光合成が活発となり,CO₂を吸収していたことが推測された.