2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16067
ダムの長期運用には堆砂対策が必要である.土砂バイパストンネル(SBT)は観測流量に基づき運用されるが,流量予測や浮遊砂濃度(SSC)予測によって効率的に運用できる可能性がある.本研究では,美和ダムを対象として浮遊砂動態の分析を行い,アンサンブル降雨予測を用いた流量・SSC予測をSBT運用へ適用することを検討した.SSCは小規模出水では洪水初期に高くなり,大規模出水では洪水後期にも高くなることが確認された.また,SBT運用の開始時刻を予測流量に基づき,終了時刻を貯水位回復量の予測から定めることで,開始時刻の遅れに伴う土砂バイパス効率低下や貯水位が回復しないリスクを避けたSBT運用が可能になることが示された.