2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16090
海洋へ流出するプラスチックごみの主な発生源は都市部であるが,路面上の汚染を定量的に評価した事例は少ない.特に,鉄道駅近傍ではプラスチックごみの高い生産性が懸念される.本研究では神奈川県川崎市の鉄道駅近傍,およびその対照として千葉県野田市郊外の歩道,車道にて計38地点の路上プラスチック濃度(個/m2,mg/m2)の観測を行った.(1) 行政による路面清掃が有る区域では,無い区域と比べてプラスチック濃度が5分の1に抑えられていた.(2) 大型のターミナル駅の近傍では小規模な駅と比べて10倍ほどプラスチック濃度が高かった.(3) 主要な交通手段が自動車である野田市では鉄道駅近傍と比べ,タイヤ片の割合が3倍ほど高かった.本研究の結果は効率的なプラスチック流出抑制対策やプラスチック動態の理解に役立つと期待される.