2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16101
気候変動による水害の頻発化を受け,水害リスク情報の重要性が高まっている.水害リスクを構成する要素の一つであるハザードの評価手法のうち氾濫解析では,河川水位が計画高水位(HWL)に達すると破堤するという条件が汎用的に用いられている.一方,実洪水ではHWLに達しても破堤に至らない場合や,浸透や侵食による越水なき破堤も報告されている.ハザードの定量評価に向け,実現象に即した破堤条件の設定が必要であり,諸外国ではその確率的な評価が導入されている.以上から,本研究では破堤条件の確率的な評価に向け,侵食破堤を対象に基礎的な破堤確率の評価モデルを構築した.モデルを北海道東部の帯広市街地に隣接する堤防に適用し,各評価地点の破堤確率の高低が,堤防高や堤内地盤高などの条件や設定した外力の大小と整合していることを示した.