2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16145
沿岸域に設置される潜堤による砕波は,大気中の酸素や二酸化炭素ガスの水中への輸送を促進すると考えられる.構造物による再曝気効果については複数の先行研究によって示唆されているが,砕波に伴う乱流生成との関係や水面下のガス輸送機構については不明な点が多い.本研究では造波水槽による基礎実験により,波,乱れおよびそれらによる溶存ガス輸送を定量的に考察した.特に複数の光学式DO計による再曝気係数の時空間変化やPIV可視化計測による砕波乱流の構造や気泡の発生特性を明らかにした.これらの情報をもとに造波周期,気泡発生量,乱れ統計量など現象を支配すると思われる水理量を整理するとともに,潜堤砕波によるガス輸送の促進メカニズムを考察した.