2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16162
雲降水粒子タイプ毎の水分量のデータは降水予測の初期値やモデル評価等に重要だが,これらの整合的なプロダクトは極めて少ない.雲水量観測に広く使われるマイクロ波と雲降水粒子の相互作用は,粒子のサイズや相,マイクロ波の波長・偏波によりその特性が異なる.本研究では固相散乱の影響が少ないKa bandを用いた液相鉛直積算雲水量(LWP)推定法の精度・適用範囲・不確実性の評価と,雲と雨のより分け推定の可能性の検討を,仮想的な真値から作成した観測を用いる合成実験により行った.その結果,雲頂高度情報の活用によって、広範囲のLWPについて適切な推定が可能であること,および,適用範囲の制限があるものの、Ka band輝度温度の偏波差が雲/雨のより分け推定に有効であり、その実現可能性があることが示された.