2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16185
国土交通省の気象分科会において,台風の予測精度向上が2030年までの目標の1つに挙げられている.台風の予測精度向上を図る上で,データ同化手法の高度化は重要である.本研究は,台風の近似モデルとして利用されるランキン渦を,ドップラー風速データから,深層学習に基づく生成モデルにより再構成する手法を提案する.自己符号化器,条件付き変分自己符号化器の2種類の学習器を用いた.真値との平均二乗誤差を比較し,両者ともランキン渦を再構成できることを明らかにした.また,ノイズを含まないドップラー風速では自己符号化器の方が性能が高い一方で,ノイズを含む場合では条件付き変分自己符号化器の方が高い性能を示した.更に,潜在変数の感度を調査し,変分自己符号化器がランキン渦の生成モデルとしての機能を有することを確認した.