2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16196
本研究は,建物高さ,植生分布,標高を入力条件とし,都市街区内の乱流統計量を推定するモデルを機械学習を用いて構築する.機械学習には一般的に多くの学習データが必要とされる.そこで数値シミュレーションにより作成した,東京23区全体を2m格子で解像する,都市街区乱流データベースを学習データとして用いた.これにより320×320m2のエリアを数千区画読み込んだ学習が可能となった.得られた結果より,地上高2mの平均主流風速,乱流強度の水平断面分布を有意な精度で推定することができた.また,区画内の空間平均値に関してはより高い精度で推定が可能である.一方で,地物の少ない開けた区画に関しては精度よく推定することができず,これは近隣の建物幾何分布だけではなく,区画外の影響がより色濃く表れるためと考えられる.