2025 年 81 巻 7 号 論文ID: 24-00305
気候変動に伴う大雨の強大化が懸念されるなか,居住地誘導等の都市計画を通じた洪水リスク軽減の重要性が増している.先行研究では,京都盆地を対象に,居住地誘導等の検討支援を目的としたエージェント型立地選択モデルを構築した.本研究では,同モデルに対して過去の総人口変化,新駅敷設,ニュータウンの開発など,2000年~2015年にかけての人口と都市の時間的変化を境界条件として反映する手法を開発した.その結果,こうした時間的変化を考慮することで,洪水曝露世帯数の変化傾向や浸水被害額の推移をより適切に再現できることが確認された.京都盆地全体では洪水曝露世帯数の増加は限定的であったが,新駅敷設やニュータウン開発が進んだ地域では,京都盆地全体と比較して,相対的に洪水曝露世帯数の増加が大きいことが明らかとなった.