2011 年 67 巻 1 号 p. 18-27
コンクリート構造物が硬化後,所要の強度,耐久性,ひび割れ抵抗性等の性能を発揮するためには,硬化初期において適切に養生を行うことが重要である.本研究では,湿潤養生期間および給水養生の実施がコンクリートの性能改善に及ぼす効果を把握するために,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートを種々の湿潤養生条件下で養生し,圧縮強度発現特性に及ぼす影響を調査した.さらに,保水状態の差異がセメント鉱物の水和反応に及ぼす影響を定量的に評価し,水和生成物の生成量の観点から圧縮強度発現特性を評価した.その結果,保水状態がセメントの水和反応に及ぼす影響を考慮することで,種々の湿潤養生条件下での強度発現特性を評価可能であることを明らかとした.