2011 年 67 巻 4 号 p. 508-521
コンクリート構造物の補修・補強材料としての利用を想定して開発された超高強度ひずみ硬化型モルタル(Ultra High Performance-Strain Hardening Cementitious Composites,UHP-SHCC)は,高強度,高靭性を特徴とする繊維補強モルタルのひとつである.本研究では,UHP-SHCCの材料設計思想をその他の繊維補強セメント材料と比較しながら紹介するとともに,材料の基礎物性を示す.特に,補修材料として重要である,各種物質移動に対する抵抗性(塩化物イオン,空気,水および二酸化炭素)の評価結果を示す.さらに,鉄筋腐食が懸念されるコンクリート構造物の補修を対象に,当該材料を利用した補修の考え方について紹介するとともに,実験室レベルでの補修効果について示す.