2012 年 68 巻 4 号 p. 225-237
発電所の維持管理では電気事業法に準じて点検調査が行われることから,様々な調査情報が蓄積されている.維持管理を通じて得られる塩化物イオンの見掛けの拡散係数,表面塩化物イオン量,鉄筋のかぶり,鉄筋腐食速度などの調査情報の統計的ばらつきを考慮した維持管理費用の算定方法を提案した.提案した手法に基づき維持管理費用算出のケーススタディを行った結果,調査情報を整理して劣化予測を行うことにより,より適切に維持管理費用を評価できることが明らかとなった.また,構造物群から構成されている発電所の維持管理にあたっては,構造物の重要度に応じた維持管理をおこなうことが維持管理費用を削減するうえで効果があることを示した.