2012 年 68 巻 4 号 p. 316-329
厳しい財政の中,橋梁の効率的維持管理手法として,ブリッジマネジメントシステムに注目が集まっているが,劣化予測を踏まえたLCC予測は実橋と大きな乖離がある.その一因は,実橋は材料や環境条件が刻一刻と変化し,1橋でも劣化状態がばらつき,最適補修工法とタイミングが複数あるのに対して,劣化予測はばらつきのない確定的な1つの予測しかないためと考えられる.本研究は劣化予測に任意のばらつきを持たせ,同じ劣化状態となるもの毎にグルーピングすることに着目した.具体には劣化の管理値を設定し,グループの中で最も早い劣化速度の要素が管理値に達した時,同じ劣化状態のグループを補修するシナリオを作成することとした.その結果,劣化のばらつきを考慮した予測ができ,LCC算出に不可欠な補修数量も定量的に算出できる様になった.