2012 年 68 巻 4 号 p. 330-342
外ケーブル工法は,新設のPC構造のみならず,補強工法の一つとして重要である.コンクリート構造物の維持管理上,ケーブルには耐食性に優れた連続繊維緊張材が最も適していると思われ,その特性を最大限に活用すべきと考えている.しかしながら,連続繊維緊張材の場合,偏向部での耐力低下が懸念される.ここでは,CFRPより線を対象として,曲げ引張試験を実施し,耐力低下に及ぼす要因と耐力低下のメカニズムについて実験的な検討を行うとともに,曲げ径比や緩衝材など,耐力低下を緩和できる方法についても検討を行った.それらの結果をもとに,曲げ引張耐力式を導いた.さらに,CFRPより線を外ケーブルとして用いる場合の偏向具の設計と導入緊張力の考え方についても言及した.