2014 年 70 巻 1 号 p. 44-55
断面形状がT形,矩形中空となる部材のせん断耐力は,現行基準で定められている算定式によるせん断耐力より大きくなることが知られている.本研究では,そのような断面を有する鉄筋コンクリート梁部材のせん断実験を行ない,その結果を基により実際に近いせん断耐力算定方法を検討した.実験の結果から,まずウェブ部に斜めひび割れが発生した後でフランジ部の破壊に至るという破壊状況であったことから,矩形断面のせん断耐力にフランジ部分のせん断耐力を加算する算定方法を検証した.その結果,現在のせん断耐力算定式と比較して,この算定方法を用いることでより実際のせん断耐力に近い算定値が得られることを確認した.