セメントと重水を水和させた白色セメントペースト試料の
2H NMRのスペクトルを解析し,養生環境のRHの変化によってC-S-Hに含有される細孔水の運動性がどのように変化するかを検討した.その結果,C-S-H中の重水素分子は,運動性の自由な重水素と水和生成物中の-O
2H基に相当する運動の拘束された重水素に分離でき,さらにC-S-H細孔壁面付近では,運動性の自由な重水素は吸着水と準吸着水およびバルク水に細分できることがわかった.また,吸着水と準吸着水それぞれの運動性の温度依存性を測定した結果,吸着水と準吸着水とでは異なる温度依存性を示すことをつきとめ,活性化エネルギーを計算した.さらに表面吸着水と準吸着水の存在比率より,吸着層の厚さを計算し,これより水が保持されている細孔の大きさに及ぼす養生環境の湿度の影響を定量化した.
抄録全体を表示