抄録
本研究では,まず山間寒冷地において生じたコンクリート床版の激しい劣化について,その劣化機構を考察した.その結果を踏まえ,アルカリシリカ反応(ASR)と凍害の複合劣化について実験的検討を行なった.ASR促進の程度やアルカリの種類,コンクリートの空気量,鉄筋による拘束の有無や位置の影響について検討した.その結果,ASRが生じたコンクリートに凍結融解繰返しが作用すると,激しいスケーリングが生じるのみならず,低温下であるにもかかわらず膨張が継続し,凍害の進行は,連行空気の導入によっても緩和されないことが明らかになった.またアルカリ種類が異なる場合や,反応性骨材が粗骨材のみの場合にも,激しい複合劣化が生じることを確認した.