抄録
本研究では,腐食発生限界塩化物イオン濃度を精度よく評価する方法を開発し,実験によりその閾値を定量的に求めることを目的とした.鉄筋コンクリート供試体に鉛照合電極を埋設し,供試体表面から局所的に塩化物イオンを浸透させつつ自然電位を連続的に計測すると,ある時点で自然電位が急激に低下する現象が確認され,鋼材表面の狭い範囲に腐食が生じており,腐食の発生時点を明確に捉えることができた.また,自然電位が低下した時点の鋼材表面での全塩化物イオン濃度を算出することにより,供試体ごとの腐食発生限界塩化物イオン濃度が得られ,これを統計的に処理すると,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの腐食発生限界塩化物イオン濃度は,単位結合材量254~446kg/m3(水結合材比65~35%)で,1.6~3.6kg/m3となった.