抄録
本研究では,コンクリートの乾燥収縮ひび割れとそれらを含む部材挙動の予測精度向上を目的として,既存のマルチスケール統合解析システムの課題を整理し,コンクリートの微視的損傷および細孔内水分状態に着目した準微細ひび割れモデルを提案した.乾燥に伴う表面近傍の微細き裂・ひび割れ発生,局所的な引張強度増加,ひび割れ発生後の水分流束増加の影響が,乾燥条件下を対象とした解析の際に重要であることを示し,モデルを提案した.また,骨材収縮が無視できない条件を対象に,骨材とセメント硬化体界面の剥離の影響と骨材収縮による見かけの引張強度増加に関するモデルについても提案を行った.さらに,乾燥条件における持続荷重下の梁部材のたわみ進行やせん断破壊の実験について検証を行い,良好に部材挙動を追跡できることを確認した.