2017 年 73 巻 1 号 p. 107-117
近年,CO2排出量の削減から普通セメントを用いないコンクリートの開発が行われている.このコンクリートをRC構造物に適用した場合中性化抵抗性の確保が課題となる.一方,著者らはレディーミクストコンクリート工場の戻りコンから製造した乾燥スラッジ微粉末(以下,DSPと称す)について報告している.本研究では,DSPと混和材を結合材としたコンクリートの耐久性に着目し,中性化抵抗性およびひび割れ抵抗性について検討した.その結果,比表面積が8000 cm2/g程度以下のDSPを結合材の60~80%用い,適切な水結合材比とすることで普通コンクリートと同等以上の中性化抵抗性を付与でき,プレキャスト部材に適用した場合,自由ひずみは100~200μ程度大きくなるが,内部鉄筋の拘束に対するひび割れ抵抗性が確保できた.