土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
73 巻, 1 号
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和文論文
  • 上原 伸郎, 幸左 賢二, 益田 紘孝, 上園 祐太
    2017 年73 巻1 号 p. 1-15
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル 認証あり
     ASR劣化による外観と内部のひび割れ,および鉄筋損傷との関係性を求めるため,主鉄筋と帯鉄筋を配筋した複数のASR供試体を屋外暴露に供し,著しい劣化に進展した供試体を主な検討対象として,詳細な観察と分析を行った.その結果,外観ひび割れは,コンクリート表面に垂直かつ帯鉄筋深さで収束する特徴を有し,内部ひび割れは,鉄筋拘束の影響を受けた多様な方向性を持つ短いひび割れとして発生する傾向を示した.鉄筋が破断に至らない程度の劣化であれば,鉄筋拘束は有効に働いていると考えられたが,曲げ加工部で鉄筋破断が生じた場合には,破断箇所周辺において内部の深い位置まで連続するひび割れが発生し,外観上では段差や急激なひび割れ幅の増大が特徴的に生じる可能性を示した.
  • 室谷 卓実, 古東 秀文, 五十嵐 心一
    2017 年73 巻1 号 p. 36-49
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル 認証あり
     コンクリート中の気泡の分布を点過程とみなし,分布の特徴と距離特性の評価を行った.気泡量を変化させた種々の気泡系に対し最近傍距離関数から特性値を定義し,従来の気泡間隔係数との対応を検討した.その結果,気泡は見かけ上凝集性の分布を示すが,セメントペーストマトリックス内ではある程度の距離以上にてランダム分布と見なせ,シミュレーションにてその分布を再現できることを確認した.また,そのランダム分布の特性値は気泡間隔係数と同等の値を与え,その理由を気泡間隔係数が定義される3次元規則配置下での距離の同義性から説明した.また,点密度と配合から気泡間隔係数を簡便に推定できることを示した.空間点過程としての取り扱いは,新たな気泡構造評価法もしくは気泡間隔係数推定の有用な手段になりうると考えられる.
  • 兵頭 彦次, 佐藤 良一, 河合 研至, 半井 健一郎
    2017 年73 巻1 号 p. 50-69
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
     せん断補強筋のないRCはりのせん断強度およびその寸法効果に及ぼすコンクリートの収縮の影響を明らかにすることを目的とし,乾燥収縮が-1000μを超える高収縮コンクリートと低収縮コンクリートを用いて,有効高さ(250mm,500mm,1000mm),水結合材比(50%,35%)をパラメータとした曲げせん断載荷実験を行った.その結果,コンクリートの収縮によってRCはりのせん断強度が低下すること,コンクリートの収縮および強度増加によってせん断強度の寸法効果が大きくなることを確認した.また,収縮,強度,有効高さの連成作用を考慮したせん断耐荷機構を提示した.さらに,収縮の影響を考慮した等価引張鉄筋比を既存のせん断強度評価式に組み込むことにより,実測値を比較的高い精度で予測できることを確認した.
  • 岩本 拓也, 中村 光, Li FU , 山本 佳士, 三浦 泰人
    2017 年73 巻1 号 p. 70-81
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
     せん断破壊するRCはりの数値解析を行い,解析による詳細な応力分布に基づいたせん断抵抗メカニズムの評価を試みた.数値解析手法としては3次元剛体バネモデルを用い,まず,せん断破壊するRCはりを対象とした載荷実験と数値解析を行い,解析により可視化された局所的な応力分布の妥当性を確認した.次に,実験では測定できない応力分布を用いることで,せん断抵抗メカニズムであるビーム・アーチ機構の分離が可能であることを示した.対象とした諸元のRCはりでは,せん断耐力時のせん断抵抗メカニズムは,せん断補強筋比によらず,主にアーチ機構とトラス機構により構成されることが明らかになった.さらに,現在のせん断耐力算定式に対する考察を行い,せん断抵抗メカニズムに則したせん断耐力算定式を再構築する場合の方向性を示した.
  • 須藤 俊幸, 佐伯 竜彦, 斎藤 豪
    2017 年73 巻1 号 p. 82-92
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,劣化原因物質の移動経路となる粗大な毛細管空隙間を連結する連結空隙に着目して,連結空隙の量と空隙径を定量化し,空隙構造の物質移動性状への影響について検討を行った.具体的には,水銀圧入法と水蒸気吸脱着試験を併用することで,連結空隙であるボトルネック空隙の空隙径を特定し,その空隙量の定量化と空隙構造の複雑さとの関係を評価した.
     また,連結空隙の大きさとC-S-Hの凝集構造との関係から,C-S-H凝集体内部に連結空隙が形成される原因を考察し,C-S-HのC/S比の低下が空隙構造を複雑化するメカニズムを考察した.
  • 三田 勝也, 加藤 佳孝
    2017 年73 巻1 号 p. 93-106
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     鉄筋コンクリート構造物の表面欠陥は,美観の良し悪しで評価されることが多く,表面欠陥がコンクリート表層部の物質透過性に与える影響は必ずしも十分に検討されていない.本研究では,基礎的な検討としてモルタルを対象とし,試験体形状を変化させて意図的に砂すじおよびあばたを発生させ,これらが塩分浸透性に与える影響を実験的に検討した.その結果,ブリーディング水が砂すじおよびあばたの発生に関与すること,砂すじおよびあばたが発生した場合,基準とした試験体よりも塩化物イオンが浸透しやすくなることが分かった.また,砂すじおよびあばたが生じていない場合でも,試験体形状によっては,ブリーディング水が滞留し品質が低下したために,塩化物イオンが浸透しやすくなる可能性があることが分かった.
  • 大川 憲, 青木 真一, 閑田 徹志, 百瀬 晴基, 笠井 哲郎
    2017 年73 巻1 号 p. 107-117
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     近年,CO2排出量の削減から普通セメントを用いないコンクリートの開発が行われている.このコンクリートをRC構造物に適用した場合中性化抵抗性の確保が課題となる.一方,著者らはレディーミクストコンクリート工場の戻りコンから製造した乾燥スラッジ微粉末(以下,DSPと称す)について報告している.本研究では,DSPと混和材を結合材としたコンクリートの耐久性に着目し,中性化抵抗性およびひび割れ抵抗性について検討した.その結果,比表面積が8000 cm2/g程度以下のDSPを結合材の60~80%用い,適切な水結合材比とすることで普通コンクリートと同等以上の中性化抵抗性を付与でき,プレキャスト部材に適用した場合,自由ひずみは100~200μ程度大きくなるが,内部鉄筋の拘束に対するひび割れ抵抗性が確保できた.
  • 熊谷 祐二, 中村 拓郎, 坂本 淳, 武田 均, 二羽 淳一郎
    2017 年73 巻1 号 p. 118-132
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     あと施工プレート定着型せん断補強鉄筋(以下,PHBと略記)の配置間隔は補強対象部材の有効高dの1/2以下と規定されている.また,PHBの先端位置は埋込側の主鉄筋の手前側表面を標準としている.標準施工範囲外でPHBを配置した場合のせん断補強効果についての検証は行われていない.そこで,標準施工範囲外でPHBを配置したRCはりのせん断補強効果を検討するため,補強間隔,鉄筋径,および埋込長を変化させたPHBによりせん断補強したRCはりの載荷実験を実施した.実験結果から同補強鉄筋によってせん断補強されたRCはりのせん断耐力は補強間隔を広げた場合に低減し,補強鉄筋がせん断ひび割れを跨いでいるか否かにより補強効果が変化することが明らかになった.
和文報告
  • 豊福 俊泰, 神山 徳夫, 上津 敏, 田中 和幸, 辛 軍青, 前田 悦孝, 福地 啓太
    2017 年73 巻1 号 p. 16-35
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル 認証あり
     屋嘉比橋は,コンクリートに高炉スラグ微粉末6000を用いたコンクリート,PC鋼材に全素線塗装型PC鋼より線,鉄筋にエポキシ樹脂塗装鉄筋,シースにポリエチレンシース,橋面にシート系防水層,高欄にアルミ高欄,支承にゴム支承を採用することにより,ミニマムメンテナンス(多手段の腐食防護)を考慮した日本最初の高耐久性PC道路橋である.本報告は,これらの塩害対策工の効果を検証するため実橋梁と暴露供試体による追跡調査を計画し,16年間にわたり「塩害に対応した高耐久性PC橋の建設」について産学官連携で研究活動した結果をまとめたものである.その結果,採用した対策工はいずれも防食性能が優れており,塩害に対して効果的であることが検証された.
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