2017 年 73 巻 2 号 p. 150-164
ボックスカルバートのような壁状構造物において,生産性を向上させるためには,機械式継手を同一断面に設けることは有効な手段と考えられる.部材の変形性能は,継手を塑性ヒンジ部の同一断面に配置することで向上するという研究報告があるが,そのメカニズムについては明らかにされていない.そこで本研究では,鉄筋単体をねじ節鉄筋継手で接合した鉄筋の座屈試験を行い,その座屈抵抗性について評価した.また,ねじ節鉄筋継手を用いた実大壁部材にて正負交番載荷実験を実施し,座屈抵抗性と部材の変形性能の関連性について検討した.その結果,ねじ節鉄筋継手を設けることで座屈抵抗性が向上し,実大壁試験体の変形性能は,継手がない試験体よりも大きい結果となった.