抄録
近年沖縄県では,石炭火力発電所のフライアッシュ(FA)の有効利用としてコンクリートに配合されており,2015年1月開通の伊良部大橋では,上・下部工でフライアッシュコンクリート(FAC)が用いられている.本論文は,波しぶきのかかる海岸線に非JIS FAを細骨材置換した外割りFAC供試体を約11年間暴露し,FACに高い塩分浸透抑制効果があること,FACでも自然電位や分極抵抗などの非破壊試験が,普通コンクリート(BC)と同様の閾値で判定可能であること,高湿度の海岸域暴露ではFAC・BCともに中性化の進行が鉄筋腐食に影響のない程度である等を確認した.また,使用した遅延膨張性骨材の海砂のアルカリ骨材反応(ASR)発生を岩石学的試験により確認したところ,痕跡程度で,ひび割れの主要因ではないと判断した.