土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
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和文論文
化学的作用に伴うセメント硬化体中の鉱物の変質と物質移動特性
宮本 慎太郎細川 佳史皆川 浩井坂 恵実山口 潤久我 龍一郎久田 真
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2017 年 73 巻 3 号 p. 271-290

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抄録
 本研究では,セメント硬化体を透過膜とした拡散セル試験を通じて,希硫酸,希塩酸,硫酸ナトリウム,塩化ナトリウムがセメント硬化体に作用したときの鉱物の変質とイオンの拡散特性を整理することを試みた.その結果,プロトンの作用による細孔溶液中のpHの低下がポルトランダイトの溶解を促進するメカニズムやアニオンの浸透による鉱物の溶解メカニズムを整理し,これに基づいてモノカーボネートが主要なAFm相として存在しているセメント硬化体のエトリンガイトの生成による膨張破壊メカニズムを整理した.さらには,アニオンの拡散特性は共存するカチオンの影響を受ける可能性があることを示し,塩化物イオンの拡散や硫酸イオンの浸透に伴うセメント硬化体の膨張破壊を検討する上で,この影響は無視できないものであることを示した.
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© 2017 公益社団法人 土木学会
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