2019 年 75 巻 1 号 p. 1-18
プレキャスト(以下,PCa)構造の施工を行う際,PCa部材同士の接合作業に手間を要したり,接合部が構造的な弱部となる懸念がある.そこで,接合に関する2種類の新鉄筋継手を考案した.これらの構造は,接合部の両側のPCa部材から鉄筋を突出させ,その鉄筋先端には事前にお互いが噛み合う構造の鋼製治具を接合させておき,部材設置後に鋼製治具の周囲に高性能な間詰め材を充填し一体化を図るものである.継手性能の検証として,鉄筋継手1組を対象とした接合部の試験体を用いて引張試験を実施し,更に,PCa構造の一例として道路橋PCa床版を想定し,面部材の試験体を用いて静的載荷試験を実施した.その結果,2種類の継手構造のうち,継手構造B(C型,T型の治具を嵌合(かん合)する形式)は,十分な耐荷性能を示すことが確認された.