2019 年 75 巻 1 号 p. 19-33
コンクリート中におけるステンレス鉄筋の性能評価が進められ,発錆塩分量は明らかになっている.ただし,直線部とは腐食特性が異なると考えられる曲げ部に対する検討がない.そこで本研究では,曲げ加工部を有するステンレス鉄筋の腐食特性を明らかにするため,飽和水酸化カルシウム水溶液およびモルタル中におけるアノード分極曲線と,加えてコンクリート中では腐食電流密度を評価した.その結果,ステンレス鉄筋でも曲げ加工部は直線部より腐食しやすいが,炭素鋼と比較するとその腐食速度は低いことを明らかにできた.さらに,かぶりコンクリート中の最外側にあるスターラップのみをステンレス鉄筋にして,炭素鋼の主鉄筋と組み合せると,かぶりの浅い位置にあるスターラップの腐食速度の低減を図れた.