2019 年 75 巻 3 号 p. 208-225
ボックスカルバートのような壁状構造物の構築において,生産性を向上させる1つの手段として,機械式継手を同一断面に設けることは有効であると考えられる.過去の研究では,部材の変形性能は,ねじ節鉄筋継手を塑性ヒンジ部の同一断面に配置することで向上するとされているが,継手単体の特性と部材性能との関係までは明らかにされていない.本研究では,SA級,A級,B’級,C’級の4種類の特性を持つねじ節鉄筋継手を用いた実大RC壁部材にて正負交番載荷実験を実施し,その変形性能およびひび割れ性状等について評価した.その結果,継手単体の強度,剛性,すべり量,伸び能力に多少の違いがあっても,B’級以上の特性を持つ機械式継手を塑性ヒンジ部の同一断面に配置しても部材の変形性能とひび割れ性状には悪影響がないことがわかった.