2020 年 76 巻 3 号 p. 171-188
電解質溶液供給方法としての簡易な給水養生装置を用いた簡易給水方式の適用性に関し,(a)簡易給水方式の設計法,(b)溶液量・コンクリート面と陽極の距離・陽極材種類が補修効果に及ぼす影響,(c)実構造物への適用性,に着目して検討した.その結果,(a)では,数値流体解析に基づき吸引口位置や吸引機を選定する設計法を確立した.(b)では,再アルカリ化と脱塩効果には影響がないことを確認した.電着効果は,検討範囲内において浸漬方式ではコンクリート面と陽極の距離が離れるほど効果が高まるが,簡易給水方式では浸漬方式より短い距離で浸漬方式と同等の効果が得られ,その効果は網目形状の陽極材で特に大きかった.(c)では,実構造物に簡易給水方式を適用し,従来方式と同じ通電条件で同等の効果が得られることを実証した.