2022 年 78 巻 1 号 p. 90-104
本研究では,内在塩分と中性化の複合作用を受けたコンクリート中の鉄筋腐食抑制効果に及ぼす表面被覆工の亀裂の影響を把握することを目的に,コンクリートの水セメント比およびコンクリート中の塩化物イオン量,表面被覆工施工後の表面被覆工の亀裂の有無と中性化の進行範囲の違いが鉄筋腐食に与える影響について分割鉄筋を用いた促進腐食試験を実施した.また,実験結果より鉄筋腐食抑制効果が得られる表面被覆工の適用条件を整理した.水セメント比が大きく,表面被覆工に亀裂があり,中性化の進行範囲が広い条件では,亀裂なしと比較し,総腐食電気量密度が著しく大きいことを確認した.さらに,塩化物イオン量を2.5kg/m3含みかつ亀裂ありでは,中性化の進行範囲に関わらず腐食が進行するため,鉄筋腐食抑制効果が十分に期待できないことを確認した.