抄録
サロマ湖では,過去に多発していた湖内への流氷流入によるホタテなどの養殖施設の被害を防止するために湖口部にアイスブームが設置されており,今後も多目的でのアイスブームの活用が考えられ,より合理的な設計方法が望まれる.本研究では,水理模型実験を実施し,特に流氷下面の凹凸の摩擦抗力成分に着目した様々な凹凸状態の氷群の伝達荷重や抗力係数などについて調べた.平坦な氷群の場合と同様,アイスブームへの伝達荷重は流速の二乗に比例した.抗力係数は,10-2のオーダーであること,凹凸の周期と振幅の比が1のオーダーでCsが最大となることが推察された.さらに,本実験結果から,オホーツク海における流氷群の摩擦抗力係数の概略推定を試みた.現地観測結果の有義振幅と標準偏差との関係から,およそ0.03~0.04と推定された.