海岸侵食対策として養浜により砂浜を回復する海岸保全事業や,海岸利用促進を図るために人工海浜の造成事業が実施される.海岸保全,砂浜および後背地の保全の観点から,飛砂対策が重要な海岸保全の一つとなるものの,飛砂対策工に関する定量的な評価に関する研究は少ない.本研究は植生帯とフェンスやトレンチを組み合わせた面的防護方式による飛砂対策工の定量的な効果について,浮遊飛砂捕捉調査,地形測量を基に検討した.植生帯に砂が十分に堆積すると,そこから飛砂が発生して後背地への飛砂が増大することがある.フェンスは堆砂効果が高いものの,フェンス周辺が堆砂により小砂丘化する.小砂丘は飛砂を舞い上げるため植生帯を越えて後背地に飛砂が到達する.トレンチは飛砂トラップ効果が高く,トラップが埋没しても効果が継続する.また,維持管理の観点からもトラップと植生帯の組み合わせによる対策が有効である.