2011 年 67 巻 2 号 p. I_493-I_498
東京港野鳥公園干潟における栄養塩のフラックスの算定結果から,干潟内ではリンの生産および窒素の消費がなされているという結果が得られている.この要因は幾つか挙げられるが,窒素に関しては底泥中の脱窒によるものが大きいと考えられる.そこで,窒素の安定同位体を用いて干潟堆積物からの脱窒およびアナモックスの測定を行った.測定は改訂安定同位体法(r-IPT : revised IPT)を用い,2010年6月,8月,12月の3回実施した.測定の結果,東京港野鳥公園干潟の堆積物からの脱窒,アナモックスの速度は,最も低くて112μmol-N/m2/hであり,最も高くて935μmol-N/m2/hであった.このことから脱窒,アナモックスが東京港野鳥公園干潟における窒素消費に大きく影響していると考えられる.