抄録
漁業者は漁港近くに居住し,生活の経済的基盤を漁船,海面養殖施設等に依存しており,津波の被害を受けた場合,生命の危険と生活及び経済的基盤への影響は甚大なものとなることが容易に予測される.したがって,津波に対する漁業者の避難行動や漁船等の対策行動は重要な課題であると考えられる.そこで,2010年チリ地震によって静岡県沿岸に発令された津波警報に対して,静岡県内漁業関係者の避難行動や漁船等の津波対策行動に関するアンケート調査を実施した.本研究では調査結果に基づき,津波来襲の危険に対し漁業者の津波に対する避難行動や対策行動と,その判断要因や発表された警報や津波情報に対する意識等について分析を行い,今後の漁業者および漁港に対する現実的な津波対策計画の策定を目指すものである.