抄録
漁業地域における主要沿岸構造物である漁港施設は,膨大な既存ストックを有していることからその老朽化が懸念されている.そのため,既存施設の耐久性の向上・延命化に努め,ライフサイクルコストの低減を図るストックマネジメントの導入が求められている.本論では,漁港施設にストックマネジメントを適用するための課題・問題点に関して,現場での取組状況を踏まえて整理するとともに,今後の対応方向について論じた.さらに,漁港施設に対するストックマネジメントの円滑な導入に資するため,点検・調査データを蓄積・活用,施設の劣化状態の適切な診断,合理的な劣化予測と適切な対策工法の選定,ライフサイクルコストの算定と平準化,といった一連のストックマネジメントの行程を体系化した漁港施設ストックマネジメントシステムを提案した.