抄録
実構造物の保有性能を定量的に評価するには,高度な専門知識を要する詳細調査が必要となる.しかし,全ての部位・部材について詳細調査を行うことは労力や費用の面からも困難であり,現状では,全ての部材について外観上の不具合を目視により調査し,これを劣化度に置き換えて,部材の保有性能の評価指標として用いている.そこで,本研究では,長期間供用された既設港湾構造物から切り出した鉄筋コンクリート(RC)部材を対象として,外観上の不具合から確率論的に部材の保有性能を評価する手法を構築した.そして,この手法を用いて,既存の桟橋10施設の上部工の保有性能を評価し,施設の対策優先順位を決定するための手法について提案した.