気温上昇による地球温暖化は波力増大などを引き起こし,防波堤の安定性や機能が損なわれる可能性が指摘されており,防波堤の滑動防止対策などが必要とされている.ケーソン式防波堤では被災後復旧時の対策として,ケーソン幅の拡幅や裏込材によるカウンターの設置などの滑動防止対策事例がある.一方,グラウンドアンカーによる滑動防止対策が提案されている.これは,ケーソンと直下の原地盤の間にアンカーを設置し,アンカーに初期緊張力を導入することにより,ケーソンの安定性を向上させ,かつケーソンの流失を防止する工法である.しかし,アンカーによる滑動防止効果は十分には明らかにされていない.本研究では,アンカーで補強したケーソン式防波堤の水理実験を実施し,アンカーによる滑動防止効果に関する基礎的な検討を行った.