2012 年 68 巻 2 号 p. I_1238-I_1243
砂質性海浜に上陸・産卵するアカウミガメは絶滅危惧種であるために,海岸保全事業に関する代表的な指標動物となっている.しかしながら,台風の上陸時期と一部重なるアカウミガメの上陸・産卵の回数は毎年一定ではなく変動するので,その変動が海岸保全に起因するものか,海洋環境の変動に起因するものかの判断は難しい.本研究では,ウミガメの産卵が特に多い鹿児島県と宮崎県のデータ及び古くからの記録が残る徳島県の蒲生田海岸および日和佐海岸で記録された年毎の上陸数に基づいて上陸数指標(年毎の上陸数÷海域毎の既往最大上陸数×100)を計算し,異なる海岸での上陸数の比較を行う.また,日単位から数十年単位の異なる時間間隔での上陸数の変動特性を,海水温,黒潮の位置,年毎の台風上陸数との相関解析に基づいて検討する.