抄録
防波堤に関するライフサイクルコスト(LCC)最小化手法の検討が進められているが,既往事例は,限られた検討条件によるものであり,LCC最小となる耐力作用比(目標耐力作用比)を一般化するまでの情報は得られていない.そこで,本研究は,ケーソン式混成堤を対象として,目標耐力作用比を簡易推定するための基礎的検討として,様々な波浪条件,被害額条件を設定し,それらの条件が目標耐力作用比に与える影響を検討した.その結果,本検討条件では,目標耐力作用比はF港で0.7~0.8,S港で1.0~1.2であり,検討条件によって大きな違いがあることがわかった.また,裾長度パラメータγ50の増加や間接被害額比の減少に伴い目標耐力作用比は減少する傾向にあるが,その影響は比較的小さく,本研究の範囲では砕波の条件が目標耐力作用比に最も強く影響することがわかった.