抄録
桟橋のレベル2地震に対する耐震性能照査では,液状化を考慮した地震応答解析プログラムFLIP等を用いて検討されている.その際,鋼管杭が塑性化して要求性能を満足できない場合,板厚を増加させるなどの試行錯誤が必要となる.港湾工事で用いられる鋼管杭は,引張強度400N/mm2級と490N/mm2級の2種類がほとんどであるが,490N/mm2級よりも高強度の鋼管杭が適用可能となれば,低コストな施設の建設が可能になる.そこで,熱延帯鋼から造管した引張強度570N/mm2級の高強度鋼管杭の港湾構造への適用を目指して,1)耐震性能確認のための単杭による正負交番繰返し載荷実験,2)桟橋構造を模した組杭による正負交番繰返し載荷実験,3)腐食性状確認のための浸漬試験,を実施して従来材と同等に扱えることを証明した.また,設計方法の提案を行った.